00.Introduction

はじめに

ある鋳造会社の譲渡案件で、FAから相談を受けた。直近期の営業利益率は8%、3期分の決算もきれいで、譲渡対価は EBITDA の5倍で話が進んでいた。買い手は「数字に問題はない」と判断しかけていた。ただ一点、FAが引っかかっていたのは「この会社、電気をものすごく食う。脱炭素で電力代と排出のコストが上がったら、この利益は残るのか」という素朴な不安だった。決算書のどこを見ても、その将来コストは載っていない。載っていないものは、財務DDでは出てこない。

素材・エネルギー多消費業——鋳造、メッキ、窯業(セメント・ガラス・耐火物)、化学、紙パルプ、鉄鋼加工——は、製造工程そのもので大量のCO2を出し、大量の電力と燃料を使う。脱炭素(GX)の流れは、こうした業種にとって「いつか来る話」ではなく、すでに電力コスト・燃料コスト・排出に対する将来負担という形で利益構造に効き始めている。表面の利益が健全に見えても、それは規制コストが本格的に顕在化する前の数字かもしれない。買い手が買うのは「過去の利益」ではなく「これから5年・10年の利益」だ。その間に規制コストが乗ってくるなら、過去のマルチプルで価格を組むのは危うい。

あなたが今見ている素材・加工業の案件で、対象会社の電力依存度・燃料構成・排出量を金額に換算し、「脱炭素対応にいくら投資が要り、その余力があるか」まで踏み込めているだろうか。それとも、きれいな決算書を見て「製造業として標準的」と片付けようとしていないだろうか。

CO2排出・電力多消費の素材/加工業のBDDでは、「いまの利益」より「規制コストが乗った後の利益」を見る。確認すべきは三つ——将来の規制・電力コスト負担、脱炭素対応投資の必要額と余力、需要側のシフトで増える部材・減る部材。表面の数字が良くても、それは顕在化前の数字かもしれない。

01.Section 01

なぜいま素材・エネルギー多消費業が構造転換を迫られるのか

脱炭素が素材・加工業に効く経路は、抽象的な「環境意識」ではない。コストと需要、二つの具体的な圧力として現れる。コスト側からは、電力・燃料価格の上昇と、排出に値段が付く動き。需要側からは、買い手企業(その先の最終製品メーカー)が自社のサプライチェーン排出を減らそうとする動きだ。両方とも、対象会社の損益計算書にじわじわ効いてくる。

コスト側でいちばん見落とされやすいのが、排出に対する将来負担だ。日本では、企業の排出量に応じて費用が発生する仕組み(GX-ETS、排出量取引制度)が、段階的に本格化する方向で制度設計が進んでいる。政府は、2023年度から試行的に始めたGX-ETSを2026年度から本格稼働させ、その後は排出枠の有償割当も導入していく方針を示している(出典: 経済産業省「GX実現に向けた基本方針」「GX-ETSの本格稼働に向けた検討」)。いつ・いくらの単価で・どこまで義務化されるかの細部はなお流動的だが、「CO2を出すことに金銭的なコストが付く方向」自体は、もう不可逆と見ていい。これは、いま排出量が多い会社ほど、将来の費用増のリスクを抱えているということだ。電力単価の上昇も同じで、電力を多消費する工程を持つ会社は、エネルギー価格の変動をそのまま利益で受け止める構造になっている。

需要側の圧力も無視できない。最終製品メーカーが「サプライチェーン全体の排出を減らす」と宣言すれば、その部材を供給する素材・加工業者は、排出の少ない製造方法や低炭素な素材への切り替えを求められる。対応できない供給者は、長い目で見て発注先から外れていく。逆に、低炭素を売りにできる素材は、これから選ばれる側に回る。

「いまは利益が出ている」が落とし穴になる

この業種のBDDで筆者がいちばん警戒するのは、「直近期の利益が出ている」という事実が、買い手を安心させてしまうことだ。利益は出ている。だがそれは、排出コストがまだ本格化しておらず、電力単価も過去の水準で、需要側の切り替えもまだ始まっていない——という前提の上の数字かもしれない。前提が動けば、利益も動く。だからこの業種では、過去の損益をそのまま将来に延ばす発想を、いったん止める必要がある。

/ Field Notes — 現場から

「製造業として標準的」で済ませかけた鋳造案件

冒頭の鋳造会社の続きだ。買い手の社内では「鋳造は装置産業、電気を食うのは当たり前。製造業として標準的な範囲」という見方で、BDDは簡易で済ませる方向に傾いていた。FAが念のためと相談に来たのが入口だった。

電力使用量の実データ(過去24ヶ月の電力会社からの請求明細)を出してもらい、生産量あたりの電力原単位を計算した。すると、同業の公開されている平均的な水準と比べて、明らかに電力を多く使う古い溶解炉を主力で回していることが分かった。電気代の上昇を数パターン置いて感応度を見ると、この案件では電力単価が一段上がるだけで営業利益がかなりの幅で削られる試算になった。「標準的」どころか、エネルギー価格の変動に対して人一倍弱い構造だったわけだ。この感応度を価格交渉のテーブルに乗せたことで、買い手は当初の5倍から議論をやり直した。「標準的だろう」という思い込みは、データに当てると崩れることがある。

02.Section 02

BDDの核心①——将来の規制・電力コストを金額に換算する

この業種のBDDで最初にやるべきは、「脱炭素で増えるコスト」を、定性的な不安のまま放置せず、できる範囲で金額に落とすことだ。完全な精度は出ない。排出単価の制度がまだ動いている以上、当然だ。それでも、レンジで試算するのと、何もしないのとでは、価格判断の質がまるで違う。

換算の入口になるのは、対象会社が「何を・どれだけ」消費し、排出しているかの実データだ。電力・燃料・原材料に由来する排出を押さえ、それぞれに将来の単価上昇シナリオを当てる。

論点確認するデータ将来リスク(顕在化したとき)
排出量への課金年間CO2排出量(自社工程+電力由来)、過去の推移排出に単価が付くと、排出量×単価ぶん費用増。多排出ほど直撃
電力コスト依存生産量あたり電力原単位、電力費が原価に占める比率電力単価が上がると利益が削られる。古い設備ほど原単位が悪い
燃料コスト依存使用燃料の種類(石炭・重油・ガス)と消費量、調達契約燃料転換の必要、炭素含有の高い燃料ほど将来負担が重い
補助金・支援の利用余地過去の省エネ補助金・GX関連支援の採択実績、申請体制対応投資の自己負担を軽減できるが、申請ノウハウがないと使えない

排出量や電力使用の実データの収集と、公開されている補助金・規制情報の名寄せは、後述するようにAIで一気に集める領域だ。問題は、その先の「将来単価をいくらと置くか」「どのシナリオで価格に反映するか」という判断のほうにある。ここは制度の方向性を読み、複数のレンジを置いて感応度を見る、専門家の仕事になる。

楽観・標準・悲観の三本で見る

筆者が実務で使うのは、排出単価と電力単価について楽観・標準・悲観の三つのシナリオを置き、それぞれで「対応後の正常収益力」を出す方法だ。標準ケースで利益が大きく削られるなら、その分は価格に反映するか、契約上の手当て(価格調整やアーンアウト)で吸収する。悲観ケースでも事業が回るかどうかが、買えるか買えないかの分岐になる。財務DDが出す正常収益力に、このBDD由来の将来コストを重ねて初めて、「これから稼げる利益」が見えてくる(バリュエーションの考え方とも直結する論点だ)。

/ Field Notes — 現場から

将来の排出コストを価格に織り込んだメッキ会社の案件

従業員50名規模の表面処理(メッキ)会社の買収で、当初の譲渡対価は直近期EBITDAの6倍だった。電力多消費の典型業種で、買い手も「電気を食うのは承知の上」という構えだった。

BDDで、年間電力使用量と排出量を実データで押さえ、電力単価と排出課金について標準・悲観の二本でコスト増を試算した。標準ケースでも、対応投資を織り込んだ後の正常EBITDAは直近期から相応に目減りする見立てになった(この案件での試算の一例だ)。この数字を売り手・買い手の双方に開示して議論し、最終的には倍率を5倍前後に引き直したうえで、排出課金が想定より早く・重く来た場合に追加で価格調整がかかる条項を入れた。「将来のコストは読めないから無視する」のではなく、「読めないからこそレンジで置いて、契約で振れ幅を分け合う」という形にした案件だった。

03.Section 03

BDDの核心②——脱炭素対応投資の必要額と、その余力

将来コストを試算したら、次は「では、いくら投資すれば対応できるのか」「その投資をする体力がこの会社にあるのか」を見る。脱炭素対応は、放っておけばコスト増として効いてくるが、設備を更新すれば原単位を下げて圧力を和らげられる。問題は、その更新に相応の資金が要ることだ。古い溶解炉を電気炉や高効率設備に替える、燃料を低炭素なものに転換する、排熱を回収する——どれも金がかかる。

ここで起きがちなのが、「対応すべきなのは分かっているが、投資する金がない」という詰みだ。利益率の薄い中小の素材・加工業では、数億円規模の設備投資を自己資金で回せないことが多い。借入余力も乏しい。すると、規制コストは上がる一方なのに対応投資は打てず、じり貧になっていく。買収後にこの状態に陥ると、買い手が想定外の追加投資を背負うことになる。

投資余力を見る三つの角度

  • 必要投資額の規模感:主力設備の更新時期と、低炭素化に必要な設備投資のおおよその金額。設備台帳と更新計画から逆算する
  • キャッシュ創出力との見合い:年間の営業キャッシュフローに対して、必要投資が何年分か。数年で賄えるのか、到底届かないのか
  • 借入・補助の余地:既存借入の状況と、GX・省エネ系の補助金で自己負担をどこまで圧縮できるか

この三つを重ねると、「対応投資の余力がある会社」と「ない会社」がはっきり分かれる。余力がない会社は、買収後にPMIで投資計画とファイナンスを組み直す前提で、その負担を価格に織り込まないと危ない。逆に、すでに更新を進めていて原単位が良い会社は、それ自体が将来の規制コストへの耐性であり、評価のプラス材料になる。

/ Field Notes — 現場から

対応投資の余力がなく、買収後に詰んだ窯業の失敗例

これは関与が浅く、入口で止められなかった失敗の話だ。ある買い手が、耐火物系の窯業会社を直近期の利益ベースの倍率でそのまま買った。BDDは財務中心の簡易なもので、脱炭素対応投資の余力までは踏み込まなかった。

買収後しばらくして、主力の焼成炉が老朽化で更新時期を迎えた。低炭素対応も兼ねて更新すると数億円。だが対象会社の営業キャッシュフローは年数千万円規模で、自己資金では到底回らない。借入余力も買収時点で使い切られていた。結局、更新を先送りするうちに燃料コストと小規模な排出負担がじわじわ効き、利益が細っていった。買収時に「この会社は近い将来、自力では打てない設備投資を抱える」と見えていれば、価格も買い方も変わったはずだ。後から振り返れば、設備の更新時期とキャッシュ創出力を突き合わせるだけで気づけた論点だった。利益が出ているうちに買えた、という安心が、将来の投資負担を見えなくしていた。

04.Section 04

BDDの核心③——需要側の脱炭素シフトで、増える部材・減る部材を見分ける

ここまではコストと投資、つまり「守り」の話だった。だが素材・加工業のBDDで本当に価値を分けるのは、需要側の見極め——「この会社が作っているものは、脱炭素で増える側か、減る側か」だ。同じ「金属加工」でも、何向けの部材を作っているかで、5年後・10年後の受注は正反対になりうる。

方向性としては、脱炭素で需要が伸びる側と縮む側が、ある程度はっきりしている。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー(風力・太陽光)、軽量化、電動化に関わる部材は、需要が増える側に乗りやすい。一方で、内燃機関(エンジン)車の専用部品、石炭火力発電に紐づく設備、炭素を多く出す古い用途に偏った部材は、長い目で需要が縮む側に置かれやすい。ただし、これは「EV向けなら全部安泰」という単純な話ではない。EVシフトの速度は地域や政策で揺れるし、過渡期にはエンジン車の補修需要が残る。だから「方向」を押さえつつ、対象会社の受注がどの用途にどれだけ偏っているかを、実データで分解することが要る。

受注ポートフォリオを用途で分解する

対象会社の売上を、最終用途別に割り振ってみる。受注先の名前だけでなく、その先の最終製品が何かまで遡る。EV・再エネ・電動化向けが何割、エンジン車・化石燃料関連が何割、用途が脱炭素と無関係な汎用品が何割——この構成比が、需要面での「脱炭素耐性」を表す。

  • 増える側に乗る部材:EV駆動系・電池関連、再エネ設備、軽量化部材、電化・電動化に伴う新規部材
  • 減る側に偏る部材:内燃機関専用部品、石炭火力など縮小が見込まれる用途の専用部材
  • 当面は中立な部材:用途が脱炭素の方向と関係の薄い汎用品、補修・保守で残る需要

この分解は、社長の説明だけでは正確に出ない。「うちはEV向けも伸びている」という言葉と、実際の受注データの構成比がずれていることは珍しくない。受注明細・出荷データを用途まで遡って分解し、増える側の比率がどれだけあるかを数字で確かめる。そのうえで、減る側に偏っているなら、その縮小ぶんを将来CFに織り込む。製造業全般のDD論点との重なりは製造業M&AのDD記事でも整理している。

/ Field Notes — 現場から

エンジン車偏重に見えて、増える部材を持っていた金属加工会社

自動車部品向けの金属加工会社のBDDで、買い手は「自動車部品=EVで需要が消える」という先入観から、評価を低く見積もろうとしていた。確かに売上の大半は自動車向けだった。

受注データを部品単位で分解してみると、見え方が変わった。売上の約3割は、エンジン本体に紐づく「減る側」の部品だった一方、別の約3割は、車種を問わず使われる構造部材と、軽量化・電動化に関わる新しい部材だった。後者はむしろEVでも採用が広がる方向の部材で、直近2年で受注が伸びていた。残りは補修・汎用で当面は中立。「自動車部品だから一律で減る」という見立ては、用途まで分解すると成り立たなかった。買い手は、増える側の3割を将来の成長ドライバーとして評価に織り込み、減る側の3割は縮小を前提にCFを引いた。一括りにせず、部材ごとに方向を見たことで、適正な価格に着地した。需要シフトは、平均ではなく中身で見る。

05.Section 05

AI×専門家で、規制コストの試算と需要分析を回す

ここまでの三つの核心——将来コストの換算、投資余力、需要シフト——には、共通の難所がある。どれも「大量の公開情報・社内データを集める作業」と「集めた情報をどう読むかの判断」が混ざっていることだ。この二つを切り分けるのが、DD-AXのやり方の中心になる。

集める作業は、いまやAIが圧倒的に速い。対象会社や同業の排出量・電力使用に関する公開情報、適用されうる規制・補助金制度の名寄せ、競合や需要先(最終製品メーカー)の脱炭素方針の公開資料、業界の電力原単位の相場感——こうした横断的な情報収集と一次整理は、人が何日もかけてやっていた作業を、AIで大幅に圧縮できる。質問票(IRL)の初稿づくりや、開示された大量の請求明細・設備台帳の読み込みも同様だ。

一方で、機械に渡してはいけない判断がある。排出単価や電力単価を将来いくらと置くか。どのシナリオを価格に反映するか。需要側のシフトが、この会社のこの部材に何年でどう効くか。集めた公開情報の出典が信頼できるか、対象会社の固有事情にそのまま当てはめてよいか。こうした最終判断は、DD経験を積んだ人間が握る。AIが集めた材料を鵜呑みにせず、対象会社の現場と突き合わせて意味を読むのが、専門家の役割だ。

定型作業(排出・電力データの名寄せ、補助金・規制情報の横断読み込み、IRL初稿)はAIで圧縮し、将来単価の置き方・需要シフトの判断・最終評価は経験者が握る。脱炭素テーマは集める情報量が多い分、この切り分けが効きやすい。大手に頼めば全領域で1,500万〜3,000万円規模になりがちなBDD・IT-DDも、判断工程の質を保ったまま設計できる。

この分担の具体的な中身はAIで安く・速いのに品質が落ちない理由の記事で開示している。「安いから品質が落ちるのでは」という疑いは当然だが、人がやるべき判断工程と、機械に任せてよい収集工程を切り分ければ、安さと品質は両立しうる。費用の全体像はDD費用相場の記事に、業種ごとのDD設計の考え方は業種特化DD×AIのハブ記事にまとめている。脱炭素に限らず、中小製造業のESG論点を広く拾いたい場合は中小企業のESG-DD記事も参照してほしい。

/ Field Notes — 現場から

公開情報の収集をAIに任せ、判断に時間を回せた化学系の案件

中堅の化学系素材会社のBDDで、論点は「将来の排出・電力コスト」と「需要先の脱炭素方針が自社製品にどう効くか」の二つだった。従来なら、対象会社と同業の排出関連情報、適用される規制・補助金、主要顧客の公開している脱炭素目標を一つずつ手で集めるだけで、数日が消える作業だ。

この回は、その収集と一次整理をAIで一気に進めた。主要顧客10社の公開資料から脱炭素方針と調達基準の言及を抜き出し、対象会社の製品がその基準に対して有利か不利かを整理する下地を、短時間で作れた。浮いた時間を、専門家が「この顧客の方針は本気か、リップサービスか」「自社製品の低炭素性は本当に差別化になるか」を、対象会社の技術陣にヒアリングして見極める作業に回した。AIが土台を作り、人が判断に集中する——この配分で、限られた予算と期間でも、需要側まで踏み込んだBDDができた。情報を集めるだけなら速い、けれど意味を読むのは人だ、ということが、はっきり分かれた案件だった。

/ Summary

まとめ

鋳造・メッキ・窯業・化学・紙パルプ・鉄鋼加工といった、CO2排出と電力消費の多い素材・加工業は、脱炭素(GX)で構造転換のただ中にある。排出への課金が段階的に本格化する方向、電力・燃料コストの上昇、脱炭素対応の設備投資負担——これらが、いまはまだきれいに見える利益に、これから乗ってくる。買い手が買うのは過去の利益ではなく、規制コストが乗った後の利益だ。

だからこの業種のBDDでは、三つを必ず確かめる。第一に、将来の規制・電力コストをレンジで金額に換算し、対応後の正常収益力を見ること。第二に、脱炭素対応に必要な投資額と、それを打てる余力が対象会社にあるか。余力がなければ、買収後に投資負担が買い手にのしかかる。第三に、需要側のシフトで、この会社の部材が増える側か減る側かを、受注データを用途まで分解して見分けること。表面の利益や「製造業として標準的」という思い込みで片付けると、これらは全部見えないまま残る。

DD-AXでは、こうした素材・エネルギー多消費業のBDDを、中小M&Aの規模感で設計している。排出・電力・補助金・規制の公開情報の収集と名寄せ、大量の社内資料の横断読み込みはAIで圧縮する。一方、将来の排出単価をどのレンジで置くか、需要先の脱炭素方針が本気かリップサービスか、その揺らぎを価格や契約条項にどう落とすか——脱炭素テーマで最も読み違えやすいこの部分は、DD経験のある人間が現場と突き合わせて握る。脱炭素で先行きが揺れる業界の案件を前に「いまの数字を信じていいのか」と迷ったときの、最初の相談先として使ってほしい。